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横陣と偃月(えんげつ)の陣


点と線とはまた違った発想で、言い換えるなら面と点ということになります。どういうことかと言いますと、僕はアプリ開発という、けっこうざっくりとした「面」を事業として会社を作りました。面ゆえに広範囲を拾えると思ったからです。

実際、それで良かったと思います。引き合いは強かったし、色々声をかけてもらうことが多かった。

このように、特出した強みがない人が事業を起こす場合、「点」ではなくまず面で攻めると良いと思います。いや、面で攻める(引き気味に戦う)しかないと思います。

ちなみに、この、面攻めや点攻めの形を武田八陣形で例えると面を横陣、点を偃月の陣と言うのでこのタイトルです。

しかし、横陣ゆえの悩み、突き抜ける点がないというコンプレックスが直後に湧き上がりました。売りは何?取り柄は?会社のアイデンティティーは?

そのコンプレックスを2年に渡ってこじらせることになるとは、この時の僕は思いもしませんでした。しかも、広範囲をカバーということは、多様な声をキャッチアップ出来る反面、それだけ痛みも大きい。余計な体力を消耗する。 それをただひたすら耐えに耐える必要もあります(これはブログの最後に書いてあります)。

一方、最初から点を取りに行く起業の仕方もあるのかなと。それがいわゆるスタートアップと呼ばれる形態です。スタートアップはプロダクトという点を作りにいきます。それも最速で。偃月の陣を敷きます。

その点一つにギュッと凝縮させる必要があるので、確かに仲間が必要だし、ファイナンス戦略も必要。身の丈以上のスポード感で突き抜けていく。

ここからは個人の考え方、価値観の差なので、どっちが正しいとかではないのですが、僕は結果として面から行って良かったと思っています。

確かに時間はかかるけど、それゆえに点の作り方を地に足付けてやれたから。面でぶつかっていくと、どこかできっと突き抜ける点ってのが出来てくる。事業領域が勝手に狭められていくと言いますか。

例えば僕なら「iBeacon」からの「G2O」。それらを繋いで点にしていくという感覚が点と線の心境に繋がるわけです。横陣から円推の陣形を組むことで強い事業ドメインが複数出来て、どこからでも突撃出来る相当イケイケな円推の陣形になった。

これがもし、最初から点を取りに行っていたら、かなり早い段階でピボット、ピボットくらいならいいけど、もうどうにもならなくて事業自体を畳んでしまったり、本人自身どうしていいかよく分からない中で日常業務を送っているリビングデッドな状態、ファイナンス面で不利な条件巻かれている状態になっていたと思います。脆弱な状態からいきなり点を当てるのはとことん難しいという印象です。

一点突破で突撃していけば確かに失敗は起こりうる。瓦解する。横陣でいる限り明確な失敗はない。「挑戦」ではなく、それはただの「確認」。

サバイブすることが何より大事だと考えます。やっぱり自分で100回動ける環境を作ること(100回やっていいとこ3回くらいかな、打率の話)。面から広範囲にカバーしていた方が長生き出来るという観点で、「面から入って良かった」という結論に繋がるわけです。

そして、その環境を維持するためには、限りなく少人数、むしろ一人起業(自分自身の深みに潜っていきながら孤独と向き合える人間の方が強い。その過程をすっ飛ばして「仲間が」とか絶対に言わなかった。)、シード出資を受けない(潰れるってことが100%ありえない会社を作ろう。)など、他にも結果として良かったなと思える道を何となく歩んできたのかなと回想出来るわけです。

ただ、今っぽいのは点から行くやり方だと思います。スピードとエコシステムの構築が大きいですね。

面を取ろうとしても今の時代コロコロ変わります。本気で面を制覇するには時間がかかり過ぎです。だから早くから一店突破を狙える偃月の陣は適しているのかなと。

エコシステムが整備されていることに関しては、パイの奪い合いと言うより、それぞれ特化したものを再編成し、一丸となってバリューを提供していこうみたいな機運が高まっているので、何だかよく分からない感じになってしまっているグダグダな横陣組んでいる部隊より、突き抜けられる、そんな勢いのある部隊の方が声がかかり易いような気がします(それゆえに「編成されている感」がついて回るとも思いますが)。

話戻ってしまって申し訳ないですが、横陣ゆえのコンプレックスというのは半端なくて、自分の横で陣形を作る部隊たちは偃月の陣でガンガン突撃していく。その横で自分は横陣のまま、「まだだ、まだまだ」と高まる機運を抑え続けなければいけないわけです(ちなみに、その機運というのは自分の中の声という意味です)。

こっちの意図は軍師と俺しか分からない、腹の中を教えられないから、外部(これも物理的な存在ではなく、自分の中の焦りや苛立ちという意味)からの「まだかまだか」というプレッシャーに押しつぶされそうになる。そりゃあ、ユーザーに戦略や企画意図が透けてしまうのはプロモーション的失敗と知りながら、なぜついついそれを語りたくなるのだろう。という心理状態にもなる。だからこそストイックに。「どや!」の前借りはあまりしない。

もし点をから攻めたいのなら僕のアドバイスはあまり役に立たない。それらは全然違う脳みその使い方だと思う。

ただ、横陣を組みなら多少参考になるのではないでしょうか。

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鹿山瞬

鹿山瞬

代表取締役株式会社INJUS
スマホアプリの開発を軸に、名刺やホームページの制作・運用、記帳代行、その他下記自社サービスを展開する会社の創業者です。 ①G2Oマーケティング ②顔パス ③TAXi ④Connector カバー画像の「唯才是挙」とは、三国志の曹操から引用しています。

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