漫画家と主人公の信頼関係

当然、主人公というのは色々とスペシャルな能力を持ってます。
ありえない力、ものすっごい派手な必殺技だとか、選ばれし宿命や変身能力とか(時にはそれが行き過ぎて、チートと呼ばれる、物語の設定を全部壊してしまう程の破壊力を発揮してしまうほどにもなりかねないわけですが)。

そして、基本的に読者は、主人公のその派手な部分に目がいってしまう。
ところが、漫画家というのは誰よりも主人公のことを知っているわけで、全知全能の神の息子とか時空を超えるとか体内のコスモを解き放つとか、そんな漫画じみたことではなく、実はもっと地味だけど、でも、もっとリアルな能力=資質を同時に描いていることも多い。

下記に具体例を紹介します。

能力や技じゃないーーその場にいる者達を次々に自分の味方につける この海においてあの男は最も恐るべき力を持っている……!!
(ワンピースにて、鷹の目のミホークがルフィを評したセリフ)

この少年赤木の最も傑出した才能 資質は… 自分の判断を信じる才能…! 揺れない心――
(アカギにて、主人公アカギに対するナレーション)

貴様は 戦が 楽しいのだ
己の力で戦に勝つ快感に はまっておる
‥‥そして それは‥‥
名武将の持つ気質そのものだ
腹立たしいが
才能も‥‥ある
(キングダムにて、函谷関の戦いで張唐が桓騎を評する)

「資質」とか「才覚」とか、そこに特別な名前はないわけです。

こういう風に、作者が「俺がこいつのこと一番分かってるんだぜ。しかもそれはキャラ設定とかじゃなく、能力的な部分をきちんと描き切ってるんだぜ」と言わんばかりに、主人公(もしくはスペオキ)の資質を別キャラやナレーションに載せて代弁するみたいなのはけっこう好きですね。信頼関係が出来てるなと。

恐らく、キャラクターに対して感情が入り過ぎて、客観的な視点になっていくんじゃないですかね。目の前にそういう人がいるくらいの感覚で描いているからこその論評テイストになるんだと。

余談ですが、今この文章を書いている僕目線で話すと「そんな作者のことを俺はちゃんと見てるんだぜ!」と言いたいわけですね。


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